たまには時事ネタなどを。
というか、ここ最近、特にこのブログを新装開店(?)してからはあまり情勢的なことは語っていませんでした。ひとえに、変なスクリプトを作って自己満足に浸っていたからだとか、「妙」ならくがきでお茶を濁していたからだとは、大きな声では言えませんが。(自爆)
それでも、気になる話題というものはあるようです。(いかに世事に疎いといっても耳には入ってきますしね)
昨今の就職事情の話題になるわけですが、来年度の新卒者の少なくない人材が、既に確定したはずの内定取り消しの憂き目にあっているというニュースがいたるところで騒がれています。当事者にとっては笑い事では済まされない、大変な事態です。
もちろん、求人を出し、あまつさえ自社に呼ぶと同時に他社からの受入を断らせた挙句に、その内定を取り消した企業側の非は否めません。事が個人の人生に関わる問題でもあることを鑑みれば、甚だ重大な契約違反と言わざるを得ないでしょう。
しかしながら、実際に経営危機に陥っているとなれば、企業としても生き残りをかけた苦渋の選択でもあることは、容易に想像することができます。なにしろ、一度は内定を出したわけですから。
それに対する保障(お詫びに1人100万円を提示したという話も聞きます)云々は、企業側の誠意とかの問題であって、その大小や是非を語ることは今回の目的ではありません。すべてケースバイケースですからね。
私が問題にしたいのは、いったいどういったわけでこんな事態になったか、という点です。
普通の考え方をするのであれば、ここ数年の間に、いわゆる戦後の団塊世代といわれた年齢層の労働者がまとまって退職する時期に入り、日本の総労働人口は一気に減少する傾向にあります。企業としては、現状の生産力を維持するだけでも、今期の全ての求職者を雇い入れても足りないという計算が成り立ちます。もちろん、不幸にして少子化の波が叫ばれて久しく、毎年の新卒者の人口は減り続けているから、ということが背景としてあるわけですね。
そういった傾向にあって、なお企業は現状の生産力を縮小(人的、資源的)する方向で生き残りを模索しています。それだけ苦しいのは企業の方でも同じわけです。
不景気だから……
とはいっても、いささか納得のできない事柄もあり、また内定を取り消された当人にとってはなおさらです。
ひとえに、極限まで生産コストを下げ、同種他社との競争を勝ち抜くといった企業論理、ひいてはそれを「当たり前」と錯覚している企業家、政治家の妄信が今の就職難を生み出したといって過言ではありません。
ずっと昔、学校で習った例があります。農業での話ですが、
「まわりがみんな凶作で、自分の畑だけが豊作であった時が一番儲かる」
需要と供給、そして価格の仕組みを学習した時の極端な例ではありますが、今考えると酷くエゴイスティックな考え方です。
それでは凶作だったほかの農家はどうでもいいのか?
企業論理からいくと、「どうでもいい」のです。そして、資本主義経済であり自由競争である以上、それを否定することはできません。
しかし、それは企業家だからこそ、倫理的に問題は指摘されたとしても通用しこそすれ、同じ考え方を政治家がしてしまっていることにこそ最大の問題があると、私は指摘します。
なぜなら、そうやって相対的に不利な立場に追いやられたり、競争から投げ出されてしまった人々が溢れかえるということは、社会の荒廃を招くということが自明であるからこそ、政策として救済の手を差し伸べたり、過剰な競争を緩和し、バランスを取る必要があります。
それを省みないばかりか、返って煽るような政策ばかりを繰り返してきた非は、糾弾されてしかるべきです。
考えてみれば、ほんの数年前の労働者派遣法、産業再生法などが思い浮かびます。
※労働者派遣法……簡単に言うと企業がいろんな職種で派遣労働者を雇いやすくした
※産業再生法………経営危機に陥った企業に公的資金を投入する条件などを定めた法律だが、その中にリストラなどをしてぎりぎりまで合理化をはかる、などというものが含まれている。
つまり、これら法律によって企業がどんどん正社員を減らし、会社が苦しくなったらすぐに切り捨てられる派遣労働者などの非正規労働者の比重を高めていくように「国自ら」仕向けてきたという事実が浮かび上がってきます。
そして、そういった動きの最大の障害になるはずであった労働組合などは、経団連の思惑どおり、とっくの昔に骨抜きにされていますしね。(思えば、これが全ての元凶だった)
だからこそ危惧するわけです。
今の、人気ががた落ちだという麻生首相がどうこうじゃなく、はじめから企業家のエゴに踊らされてこんな政策ばかりを続けてきてしまった以上、今さら有効な対策なぞ、誰にも打ち出せません。それこそ、一気に発想を逆転させてリストラや派遣労働者の首を切った企業に多大な罰則を設けるなり、新規採用の際に補助金を出すなり、無理やり的なテコ入れでも何でもするべきでしょう。
「自分の畑だけ豊作(=生産コストが抑えられたら)」としか考えられないのが企業というものです。その考え方が「割に合わない」と思わせないかぎり、この状況は100年経っても変わりません。
予言してもいいぐらいですよ。今年就職にあふれた人材は、来年度にはもう一度求職者人口の中に加算されます。来年度の就職難は今年以上になることは明白なのです。もちろん、今年のような「内定取り消し」が取り立たされて非難されたくない企業は、はじめから募集人数を絞り込み、あるいは何年も前から目をつけた人材(大学とかとの癒着で)だけを採用する方向に動くでしょうね。
そしてそれは年々膨れ上がり、結果的に未曾有の失業率社会が待っています。もちろん、彼らは「たとえ安い賃金でも」と短期労働、派遣労働者として企業のエゴの餌になるしかありません。そしてその「正規雇用されたいけどなれない」労働者の存在が多ければ多いほど、賃金を安く抑えたいという企業にとって有利に働き、正規社員であってさえ低賃金に抑えられるという状況を生み出します。単純な労使の力関係の問題です。
さらなるワーキングプアの創出……。
それは市民の購買力の低下を招き、同時に企業経営にとってもさらなる不況となって跳ね返ってきます。そしてさらなるリストラと生産力の削減……。
人口が減り、生産も減り、賃金も減り、労働力も減り、の悪夢のスパイラルです。
政治家はいったい、この事態をどう見ているのか?
いつまでも目先の利権だけを見て企業のエゴに踊らされてるんじゃないよ。
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もちろん、求人を出し、あまつさえ自社に呼ぶと同時に他社からの受入を断らせた挙句に、その内定を取り消した企業側の非は否めません。事が個人の人生に関わる問題でもあることを鑑みれば、甚だ重大な契約違反と言わざるを得ないでしょう。
しかしながら、実際に経営危機に陥っているとなれば、企業としても生き残りをかけた苦渋の選択でもあることは、容易に想像することができます。なにしろ、一度は内定を出したわけですから。
それに対する保障(お詫びに1人100万円を提示したという話も聞きます)云々は、企業側の誠意とかの問題であって、その大小や是非を語ることは今回の目的ではありません。すべてケースバイケースですからね。
私が問題にしたいのは、いったいどういったわけでこんな事態になったか、という点です。
普通の考え方をするのであれば、ここ数年の間に、いわゆる戦後の団塊世代といわれた年齢層の労働者がまとまって退職する時期に入り、日本の総労働人口は一気に減少する傾向にあります。企業としては、現状の生産力を維持するだけでも、今期の全ての求職者を雇い入れても足りないという計算が成り立ちます。もちろん、不幸にして少子化の波が叫ばれて久しく、毎年の新卒者の人口は減り続けているから、ということが背景としてあるわけですね。
そういった傾向にあって、なお企業は現状の生産力を縮小(人的、資源的)する方向で生き残りを模索しています。それだけ苦しいのは企業の方でも同じわけです。
不景気だから……
とはいっても、いささか納得のできない事柄もあり、また内定を取り消された当人にとってはなおさらです。
ひとえに、極限まで生産コストを下げ、同種他社との競争を勝ち抜くといった企業論理、ひいてはそれを「当たり前」と錯覚している企業家、政治家の妄信が今の就職難を生み出したといって過言ではありません。
ずっと昔、学校で習った例があります。農業での話ですが、
「まわりがみんな凶作で、自分の畑だけが豊作であった時が一番儲かる」
需要と供給、そして価格の仕組みを学習した時の極端な例ではありますが、今考えると酷くエゴイスティックな考え方です。
それでは凶作だったほかの農家はどうでもいいのか?
企業論理からいくと、「どうでもいい」のです。そして、資本主義経済であり自由競争である以上、それを否定することはできません。
しかし、それは企業家だからこそ、倫理的に問題は指摘されたとしても通用しこそすれ、同じ考え方を政治家がしてしまっていることにこそ最大の問題があると、私は指摘します。
なぜなら、そうやって相対的に不利な立場に追いやられたり、競争から投げ出されてしまった人々が溢れかえるということは、社会の荒廃を招くということが自明であるからこそ、政策として救済の手を差し伸べたり、過剰な競争を緩和し、バランスを取る必要があります。
それを省みないばかりか、返って煽るような政策ばかりを繰り返してきた非は、糾弾されてしかるべきです。
考えてみれば、ほんの数年前の労働者派遣法、産業再生法などが思い浮かびます。
※労働者派遣法……簡単に言うと企業がいろんな職種で派遣労働者を雇いやすくした
※産業再生法………経営危機に陥った企業に公的資金を投入する条件などを定めた法律だが、その中にリストラなどをしてぎりぎりまで合理化をはかる、などというものが含まれている。
つまり、これら法律によって企業がどんどん正社員を減らし、会社が苦しくなったらすぐに切り捨てられる派遣労働者などの非正規労働者の比重を高めていくように「国自ら」仕向けてきたという事実が浮かび上がってきます。
そして、そういった動きの最大の障害になるはずであった労働組合などは、経団連の思惑どおり、とっくの昔に骨抜きにされていますしね。(思えば、これが全ての元凶だった)
だからこそ危惧するわけです。
今の、人気ががた落ちだという麻生首相がどうこうじゃなく、はじめから企業家のエゴに踊らされてこんな政策ばかりを続けてきてしまった以上、今さら有効な対策なぞ、誰にも打ち出せません。それこそ、一気に発想を逆転させてリストラや派遣労働者の首を切った企業に多大な罰則を設けるなり、新規採用の際に補助金を出すなり、無理やり的なテコ入れでも何でもするべきでしょう。
「自分の畑だけ豊作(=生産コストが抑えられたら)」としか考えられないのが企業というものです。その考え方が「割に合わない」と思わせないかぎり、この状況は100年経っても変わりません。
予言してもいいぐらいですよ。今年就職にあふれた人材は、来年度にはもう一度求職者人口の中に加算されます。来年度の就職難は今年以上になることは明白なのです。もちろん、今年のような「内定取り消し」が取り立たされて非難されたくない企業は、はじめから募集人数を絞り込み、あるいは何年も前から目をつけた人材(大学とかとの癒着で)だけを採用する方向に動くでしょうね。
そしてそれは年々膨れ上がり、結果的に未曾有の失業率社会が待っています。もちろん、彼らは「たとえ安い賃金でも」と短期労働、派遣労働者として企業のエゴの餌になるしかありません。そしてその「正規雇用されたいけどなれない」労働者の存在が多ければ多いほど、賃金を安く抑えたいという企業にとって有利に働き、正規社員であってさえ低賃金に抑えられるという状況を生み出します。単純な労使の力関係の問題です。
さらなるワーキングプアの創出……。
それは市民の購買力の低下を招き、同時に企業経営にとってもさらなる不況となって跳ね返ってきます。そしてさらなるリストラと生産力の削減……。
人口が減り、生産も減り、賃金も減り、労働力も減り、の悪夢のスパイラルです。
政治家はいったい、この事態をどう見ているのか?
いつまでも目先の利権だけを見て企業のエゴに踊らされてるんじゃないよ。
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|2008,12,10, Wednesday 09:32 PM | comments (0) | trackback (0) |